2015年8月29日土曜日

■輸液フィルターを通してはいけない注射薬

 輸液フィルターは、輸液中の沈殿物や異物、細菌などの微生物を捕えて血液中に入らないようにしたり、空気塞栓を防止するという機能があります。
 フィルターがないと、これらが全部体の中に入ります。
 細菌・真菌などのトラップ、不溶性の微小異物の除去、配合変化で生じた沈殿物および気泡などの除去を目的として使用されます。
 輸液フィルターを通してはいけない注射薬としては、下記の薬剤が挙げられます。


▽輸液フィルター孔径(0.2μm)より粒子が大きい薬剤
・血漿分画製剤:アルブミン製剤・グロブリン製剤など(アルブミナー25%静注50ml、献血ヴェノグロブリンIH5%静注2.5/50ml)
・油性製剤:ビタミンA、ビタミンD(オキサロール、ロカルトロール)、サンデミュン
・リポ化製剤:アルプロスタジル注、ロピオン注、
・脂肪乳剤:イントラリポス、プロポフィール、ディプリバン注
・コロイド製剤:ファンギゾン、フェジン注
・リポソーム製剤:アムビゾーム注50mg(孔径1.2μmの脂肪乳化剤用フィルターならOK)
・抗悪性腫瘍剤:サンラビン


▽粘度が高い薬剤(孔径0.2μmのフィルターを通過するが、粘性があるため時間がかかる)
・グリセレブ注200ml、低分子デキストラン糖注、アルブミナー5%静注250ml


▽フィルター(薬液ボトルも含む)に吸着する薬剤(含有量低下を招く):投与する輸液中の薬剤濃度が5μg/ml以下あるいは、1日の総投与量が5mg以下の場合(-CSF製剤など)は、フィルターの通過の可否が確認できてから使用すること
・G-CSF製剤:グラン注、ノイトロジン注、ノイアップ注
・抗悪性腫瘍剤:オンコビン注、エクザール注、コスメゲン注
・インスリン製剤(フィルターの材質、添加薬剤により吸着率が変動する)
・ミリスロール注、ミオコール注、ニトロール注、ニトログリセリン注
・セルシン注、ドルミカム注、ロヒプノール注
・ジゴシン注
・ニカルジピン注、ジルチアゼム注
・ボスミン注


▽フィルター自体を変性させる薬剤(患者側に近いフィルターより下流のゴム栓より穿刺して注入する。)
・抗悪性腫瘍薬:ラステット、ペプシド


▽その他
・ケイツーN注(可溶化剤として精製ダイズレシチンを使用しており、他の薬剤との配合変化により可溶化力が低下し、配合変化を起こすことがある。ファイナルフィルターを使用し、点滴静注すると、通常より早くフィルターの目詰まりを起こす可能性がある。)
・フェノバール注
・アレビアチン注


1.2μmフィルターでは沈殿物、脂肪の凝集塊の除去、カンジダ・アルビカンスなどの比較的大きい微生物の除去に有用であり、静脈炎の防止に繋がります。




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